本記事はシリーズ第2回です。AIガバナンス態勢を“形だけ”で終わらせないために、体制・ルール・運用をどのように設計するかのポイントを整理します。

本記事のポイント

  • 態勢構築は「ルール」だけでなく「運用」とセットで考える
  • 現場の利用を止めないためのガードレール設計
  • 公共・大企業で求められる説明責任(監査・記録)の考え方
構築ポイント実務上の狙い
責任体制意思決定者/窓口/審査者を明確化し、判断を止めない
運用プロセス申請・審査・承認・記録・見直しを“回る形”にする
教育・浸透禁止ではなく「使い方」を揃え、事故を減らす

【第2回】ガバナンス態勢構築のポイント
― 企業がまず整えるべき体制・ルール・プロセス ―

第2回では、企業がAIガバナンスを実現するために必要な「組織的なポイント」を解説します。

  • 1. 組織体制(ガバナンス構造)の明確化

AI活用を安全に行うには、「誰が何を責任を持つのか」を明確にする必要があります。

  • 例:AIガバナンス体制

AIガバナンス委員会

方針策定、重要案件の承認、リスク評価の最終判断

AI責任者(CDO/CTOなど)

ガバナンス運用の統括

業務部門

利用目的・業務要件の定義、影響評価

IT/セキュリティ部門

技術的リスク評価、セキュリティ対策

法務・コンプライアンス部門

契約、法令対応、倫理評価

体制は企業規模によって柔軟に構成できます。

  • 2. リスクアセスメント

AIガバナンスの中核は「リスク評価」です。

  • 主な評価ポイント

入力データの妥当性・偏り

出力の正確性や誤情報リスク

利用による業務影響(誤判断・責任問題)

セキュリティリスク(データ漏洩)

プライバシーへの影響

外部提供AI(SaaS含む)の評価項目

生成AI特有リスク(著作権、学習データ流出)

ISO/IEC 42001でも、これらの評価が必須となっています。

  • 3. ルール整備(ポリシー・ガイドライン)

企業としてAIを利用するうえで、最低限必要なのが「利用ルール」です。

  • 作成すべき文書例

AI利用ポリシー(全社方針)

生成AI利用ガイドライン

AI導入チェックリスト

データ取り扱い規程

AIモデルの開発・検証手順

特に生成AIは社員の利用が進んでいるため、

業務データを入力してよいか

利用可否アプリの一覧

出力の取扱ルール
などを明確にする必要があります。

  • 4. 運用プロセスの整備

AIは導入後の運用が極めて重要です。

  • ライフサイクル運用例

企画(業務目的・リスクの定義)

設計(品質基準・データ要件)

開発/導入(テスト基準、説明可能性の確認)

運用(品質監視、誤生成チェック)

保守(モデル更新、バージョン管理)

廃止(データ削除、影響確認)

特に生成AIでは、
誤った情報がそのまま利用されるリスク が高いため、チェック体制の構築が不可欠です。

  • 5. 教育・トレーニング

利用者の教育はAIガバナンスの基盤となります。

一般社員AI利用ルール、リスク理解
管理職AI倫理、責任、判断基準
開発者品質・安全性の確保技術
セキュリティ担当モデルの脆弱性管理

AIは全社的な取り組みであり、特定部門だけでは機能しません。

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